「9人の妹がいたの。皆死んでしまったよ。」
「お前の顔は凄く嫌な感じだ。」
「死んでしまったよ。」
「苛々する。髪を切れ。」
「母も逃げていってしまった。」
「その黒い髪を切れ。」
「畑の世話も、もう辛いの。後生よ。」
「髪を切れ。」
「救って欲しいの。」
「3番目の妹はね、鉛筆を噛む癖があったよ。」
「ホテルが燃えている。」
「苦いのにね、やめないよ。叱っても。」
「お前の仕業か。」
「スイカの味がするのだと言った。」
「海辺の椰子も皆燃えてしまう。」
「その子もやはり死んでしまったよ。」
「お前の仕業か。」
「母が言っていた。父を愛しているのだと。」
「しかし父はお前の母を愛さなかった。」
「母はもうずっと前から駄目だったんだ。」
「お前は母の傍にいられなくなった。」
「5番目の妹はね、母の悪口を言うよ。」
「お前達を育てた母だ。」
「私は5番目の妹を嗜めたよ。私達は母の庇護によって生きるだと。」
「母は遠ざけたのはお前だ。」
「5番目の妹は悔しくて泣いたよ。」
「母を遠ざけたのはお前だ。」
「お前は罪を犯した。」
「水を汲む腕が震える。後生よ。」
「お前の顔は凄く嫌な感じだ。」
「救って欲しいの。」
「髪を切れ。」
「一番の下の妹はね、言葉を覚えたよ。空、芋、鯨。」
「お前は恋人を飼い殺す。」
「それから立って歩いたよ。」
「卑しい嫌らしい女だ。」
「私は従兄弟に手紙を送った。小さな妹の成長を綴って。」
「手紙は俺が破いた。」
「その子は咳きの病にかかったよ。」
「お前は孤独だ。」
「その子もやはり死んでしまった。」
ホテルが燃えている。
風が強い。
「車の中にお前の母がいる。」
「母は女だ。」
「母はお前を許すと言う。」
「母は女だった。」
「お前は心の狭い女だ。」
「7番目の妹の為にこしらえた服も、」
「ホテルが燃える。」
「もうすぐ消えてなくなってしまうよ。」
「お前を守った恋人や友達も、」
「後生よ。」
「お前が燃やした。」
「最後の山羊も売ってしまった。」