縁側、わたし、ポリエステル

アイデア

足をボリボリ掻きながら、縁側で、茶を啜っています。お天気であります。うららかな午後を満喫中、かと思いきや、呑気を手探り、少しそわそわした感じ、わたし、久方ぶりの、休日です。

ボサボサの松、でこぼこのツツジ、雑草だけが生えた花壇、すっかりほったらかしの庭を、丸めた背中に馴染ませていきます。どうでしょう、両手で包んだ湯呑みの冷めてく速度が美しい、時間が安全無摩擦です。見上げた雲が、なんだかとっても無責任、茶を啜り、だんだんと、いいですね、わたし、久方ぶりの、休日なんです。

どうやらこうして縁側で、一人でいるということが、特効薬だったみたい、いつからなんだかわからない、わたし病んでたみたいです。この縁側で、分かります、治っていきます、治っていきます、お天気であります。

おや、未来の方からガサゴソと、聞こえる、こっちに来るとは思わなかったと未来の方から声がします。急にわたしが、そっちの方に行くことになって、驚かせたのかもしれませんね、明るい方の、未来からです。

ひとつ気になります。どうやらさっきから、日光と、上着のポリエステルが、いちゃつきすぎているみたい、わたしより、わたしの着ている上着の方が、日向を満喫している事態、嫉妬します。

だから、だから、脱いでやりました。威風堂々下着を丸出し、大丈夫、わたしはそういう、ラスボスよろしく、だってここはわたしの王国、湯呑みは少し欠けている、後ろの襖は破れてる、ボサボサ松が揺れている、この縁側、それでよい。茶を飲み干した。わたしの皮膚を満たせ日光、さすればわたしは完全体、ぬくもり丸まり球体浮遊生物と化して、縁側を漂い続けることと、なるであろう。

くりもなか。陽だまりの縁側で、完全体に変態する直前、わたしの脳裏に冷蔵庫の栗最中がほとばしる。どうでしょう、あれと茶を、もう一杯、手を膝に、どっこいしょ、わたしは立って、のびのびと伸びをしたその拍子、あれもしかして今、多分ちょっと、宙に浮いたかもしれないな。