ひかりのゲート

只々日々

ハライチのターンを好きでよく聞いている。

きっかけは、時折この日記に登場するアイドルグループの冠番組の、MCがハライチの澤部佑だったからだ。ハライチの漫才はノリボケのやつしか知らなかったかな。だから岩井の印象はすごく薄かった。

ラジオを聞くと、パフォーマンスが高いのは岩井のほうで、番組の中盤以降に恒例のフリートークが披露されるのだが、傑作が幾つもあって、それを本にしたものが随分売れたようだ。

最近すごく関心したのが、アフタートークで話題にのぼった、「ダウナー」ってやつだ。疲れている時に追い討ちをかけるような、残念な日常風景について言及していく中で、「台所にある紐を引っ張ってつけるタイプの蛍光灯の薄暗い感じ」に気が滅入る、という話を、岩井がしていた。

ハライチは二人とも「あるあるネタ」が好きで、ほとんどのコーナーもその派生系だったりするように思えるが、その絶妙さが人の共有感覚の死角に届くような時、笑うというより、関心してしまう。共有感覚の死角とか、変な日本語だけども。

僕らは、言語はもとより、日本全国津々浦々、基本同じフォーマットの中に生活している。無意識の中に眠っている名付けられていない景色でも、掴み上げてみると、案外みんなの「あるある」だったりするってのは、あるのだろう。

岩井は特にその辺に鼻がきくというか、あるあるなのに異化効果も持っている一撃を放つ時があって、だけど常連のハガキ職人たちもそういうの、上手なんだよな。大好きな漫画家の「ながいけん」が昔、読書投稿系雑誌の有名人だったと聞いたことがある。YouTubeとか存在する時代に的外れかもしれないが、ラジオの優れたコーナーの中の、才能あるまだ作家未満の人材の前のめりには、わくわくさせられる。

ラジオ番組に「一流のプロの人たちがアマチュアイズムを謳歌している時の空気感」が漂う時、本当に素敵で、羨ましく思う。それは色んな「つくる人たち」にとっての理想的な姿といえるかもしれない。ハライチのターンはパーソナリティの身勝手度が低く、僕のような軽いラジオリスナーにも聞きやすい番組だ。スポンサーのコーナーがもうちょっと減るといいんだけどなー。