橋とアイスと日本刀

夕暮れ。
長い橋を渡る高校生の男と女。アイスを食べている女。

「日本刀?」
「そうだよ、今度見せてあげるね」
「なんでそんなもの持ってるの?」
「もらったの。おじいちゃんから」
「へえ」

女、アイスの棒を見つめている。 「あたり」の文字。

「マニアだったんだよ」
「へえ、かっこいいな」
「小さい頃よく怒られたんだ。おじいちゃんの秘密の部屋に入ると」
「コレクション?」
「うん、甲冑とかね、いっぱいしまってある部屋、いっぱいでもないけど」
「今もあるの?」
「わかんない(アイスの棒を渡す)」
「そう(アイスの棒を受け取る)」
「来たよ」

向かいから女がやって来る。違う高校の制服。 男の片思いの相手。
すれ違う。
その瞬間、アイスの棒を川に投げ捨てる男。

「なにやってんの?」
「もういいわ、俺、あきらめた」
「そうじゃないよ、あたりだったでしょ?」
「うん」
「許せない」
「うん」

男、ポケットからアイスの棒を出す。 それを女に渡す。

「なんだ、あんたのもあたってたんだ」
「見せてよ、今から」
「え?」
「日本刀」