知らないおじさん

あれれ
知らないおじさんが
ふっくら炊けたご飯の前に
ちゃんと座ってる
知らないおじさん
知らないおじさん
ここ
わたしの部屋でしょう

あれれ
知らないおじさんが
ふっくら炊けたご飯の前に
上手にお箸を並べてく
知らないおじさん
知らないおじさん
ここ
わたしの部屋でしょう

あれれ
本棚の本が
背の高い順に並んで
換気扇の色が
初めの色に戻ってて
無駄にたまったガラクタおもちゃが
お店屋さんみたいに飾られて
きつく結んでほどけなかった
パジャマの紐がほどけてて
ドライヤーに絡んだ毛が
すっかりきれいに無くなって
スリッパ揃ってる
あれれ
知らないおじさん
知らないおじさん
花瓶にささった花の名前
なんていうの

今日もなんだか疲れたの
なんにもいいことなかったわ
だけどね聞いてよ知らないおじさん
うるさいうるさい隣の犬がね
犬小屋にすっかり収まって
犬小屋を温めていたよ
その横に転がったバケツがね
ずっとずっと前からそこに転がっていたみたいに
穏やかだった

知らないおじさん
知らないおじさん
なにもかも本当の場所に
ちゃんと座ってたらいいね
ここ わたしの部屋でしょう
でもそこ
知らないおじさんの場所だったんだ
変なの

あれれ
でもね
知らないおじさん
新聞勝手にとっちゃ
駄目でしょう