タカシ銀色

ある日タカシ君は
銀色というものを
愛しだしました
身の回りの
あらゆる銀色を集めて
タカシ君は
銀色に埋もれて
眠ろうと思いました

銀の色鉛筆を握りしめ
銀色の行方を嗅ぎました
もしもそれが土手から匂えば
タカシ君は
土手へ向かいました
もしそれがジャングルジムから匂えば
タカシ君は
ジャングルジムへ向かいました
何も匂わなければ
なにもせずそのまま待ちました

タカシ君は
目が
良くなりました
手が
すばやく動きます
血が
激しく流れだします
銀色を掴まえる度に
タカシ君は

宿題の銀色を
友達の銀色を
給食の銀色を
お母さんの銀色を
お父さんの銀色を
タカシ君は集め続けます
銀色に囲まれて
微笑んで眠ります

やあ ほら
もうすぐです
タカシ君は
もうすぐです