今夜は泣きたい気分だから誰か刺されて死ねばいい

今夜は泣きたい気分だから誰か刺されて死ねばいい。本当に本当に。血飛沫がwifiになって降ったらその凄惨と理不尽のデータを喉ぬーるして優しい優しい優しい僕は、母親の下着を引き千切ってますって如く狂って、涙涙、泣いてやる。そうだそうだ。だから誰か刺されて死ねばいい。

月明かりの下へ出ればレントゲンされちゃう。暴かれる。本当に本当に。カーテンの影を塹壕にして、このまま一生ピーマンだけ喰って生きるはめになったっていい。「お前が主人なわけじゃない」と部屋が言う。嘘だ嘘だ。誰か刺されて死ねばいい。間に合わなくなる。

まばたきさえも埃臭いし凝った肩を回した音がまるでからくり博物館だ。テーブルに最終回を待つような残りひとつのバファリンだ。知らない誰かの死が欲しい。小2の思う水色ばりの色の涙を流すんだ。かわいそうだかわいそうだかわいそうだ。今夜は泣きたい気分だから誰か刺されて死ねばいい。

一昨日落とした画鋲が見つからないから地団駄踏むにも気を抜けない。聖書を抱くようにペプシを飲んで祈りを灯すように白髪を抜いて巡礼を歩むようにザッピングして、お願いお願い。間に合わなくなる。僕があなたの包丁を研いだっていい。ただでやってあげます。

じいちゃんちで生まれて初めて紙で指先を切った時のあの落ち度の分からない魂までもぎくっと痛い無慈悲な無慈悲な無慈悲な執行を忘れない。本当に本当に。溢れる血を咥えて吸うと鳩時計が鳴った。あの日のパッポーがたまに聞こえます。僕はずっと世界に裏切られたままなんだ。助けて。優しい優しい優しい僕の、明日を守って。だから誰か刺されて死ねばいいい。